ベトナムでは、2025年7月1日から大規模な行政改革が実施され、従来の63の省・中央直轄市が34単位に統合された。政府は、行政の効率化や経費削減、地域発展の加速を目的としている。
一方で、合併に伴う混乱も各地で生じている。まず、住民は新しい行政単位に合わせて身分証明書や土地使用権証明書、車両登録などの書類を更新する必要があり、手続きの煩雑さに不満が高まっている。さらに、多くの地方公務員が配置転換や早期退職を余儀なくされ、雇用の不安が広がっている。
また、道路標識や地図、ナビゲーションアプリの更新が追いつかず、移動の際に混乱が起きている。企業にとっても、新たな許認可の取得や再登録を行わなければならず、不動産市場や小規模事業者に影響が出ている。
加えて、長年親しまれてきた地域名や特産品ブランドが失われることへの懸念も強い。住民にとって、この改革は将来の発展につながる一方、当面は大きな負担となっている。